主催者の悲劇

sarumania2005-06-30

ライブハウスには小屋のブッキングによる通常のライブと、ホールレンタルによる主催者マターのイベントと、ちょうどその中間的な位置にあるバンド企画のイベントの3つのカタチがあるのだが、今回はかのアーバンチャンピオンで名高い、有閑マダムに大人気、紅顔のツバメボーイでお馴染み大久保有平改め濱遊児改めバッチユーヘイによる企画イベントだった。
イベントを切るにはまず企画意図を明確にし、その内容に沿った出演者を自らブッキングし、スケジュールの調整タイムテーブルの作成、宣伝と普通ならライブハウス側がやるべき内容の仕事までこなさねばならず、なかなかどうして大変なものなのである。

今回この越境ツバメ(ココからも自らをツバメボーイと認識していることが窺える)には、オンエアバトルでもお馴染みガールズスリーピース「Miyu Miyu」、新横最強のメロディーメーカー、リリックメーカー、タイガーマスクの富田雅奥率いる「フロウズン」、鶴見の暴れん坊、伝説の特隊、コブシのマンの異名をとる漣一家直系鳳組の「鳳萬太郎」、そしてインディーズ界の性のテロリスト、ミスターグズグズ、プエルトリコからやってきた通りすがりの吟遊詩人「ハラワタ」。

ユーヘイの悲劇はこのチョイスをした時点からもう決まっていたのだ。

トップバッターのハラワタはいつにも増してのグズグズ加減。会場の婦女子からは「ヤダぁ〜〜」と明らかに不快感をあらわにした声が漏れ、時間いっぱいで照明が落とされ後味の悪いまま退場。

そして2番手。蹂躙されうなだれる観客相手にフロウズンも気の毒な話だ。

3番手の鳳萬太郎は若頭のノブオ(しんいちろう)を連れて、観客を脅しカタにハメ、最後は抗争に巻き込まれ瀕死の重傷を負って退場。

そして血まみれのステージのままMiyu Miyuがさわやかな歌声を・・・ってやりづらいわっっ!


セッションではミスチルの「ラララ」とユーヘイの必殺技「once more・・・」
事前にセッション曲はメンバーに告知されていたと言うのに、リハの段階ではMiyu Miyuと本人を除いて誰も覚えてきていないという始末。

選曲から窺えるに、感動的なちょっといい雰囲気でのフィナーレを描いてたのであろうが、それとはかけ離れたてんやわんやの大騒ぎに。

大ラスの「once more・・・」
まずイントロで皆が勝手にサビを唄い出し、Aメロ唄いだしの萬太郎は唄えず、そしてサビではユーヘイのマイクを奪い唄わせず、皆で大合唱。自分のパート以外では皆が(主にハラワタ、鳳一家)勝手に写メール撮ったりと思い思いにハシャギ(註:once moreは物凄く素敵なバラードです)

てんやわんやでなんとか曲が終わり、シメのトークをしている最中、また皆がサビを唄い出すと、ユーヘイバンドでギターをやってたspritsのこーじがギターのフレーズで見事に乗っかりまたサビが復活。
延々サビをやってるなか困惑の表情で立ち尽くす主催者ユーヘイ。
そして極めつけはしんいちろうがセンター位置で「みなさん今日は有り難うございましたー!」観客もそれにのって「ワー!」と盛り上がる。




ハラワタのライブにデスラー総統役で参加した東海林のりおは
「これは主催者の新しいカタチだ!こんなに主催者の影の薄いセッション初めて観たと!」
と感嘆の言葉を残した。

そしてまた
「『once more・・・』はベルズのサライだ」
という最高の褒め言葉も頂戴した。


それにしても見事だったのはユーヘイの見事ないじられ方、この場合ほっとかれ方であろう。
彼の戸惑いの表情、悲愴感たっぷりの佇まいはもはや芸として成立しているといえるだろう。

彼の今後進むべき路はリアクションミュージシャンしかない。合掌




*よもや堅気とは思えない鳳一家の組長鳳萬太郎と若頭のノブオ(セッションステージ上にて 撮影:ハラワタ渡)